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カルティエ・サントスの進化論

  • 執筆者の写真: TAKE
    TAKE
  • 5月6日
  • 読了時間: 4分

1904年から現代へ至る「不変と革新」の系譜


カルティエのサントスを検討するとき、

多くの人が「サントス・ドゥ・カルティエ」と「サントス・デュモン」で迷います。

しかし、メインストリームである「サントス・ドゥ・カルティエ」の背後には、

時代に合わせて姿を変えてきた劇的な進化の歴史があります。

その系譜を辿ると、なぜ今この形になったのかが鮮明に見えてきます。


1. 【原点】サントス(1904年〜)

すべては飛行家アルベルト・サントス=デュモンの「操縦中に時間を見たい」という願いから始まりました。

角形のケース、ベゼルのビス、レザーストラップ。

この時生まれた「機能のためのデザイン」が、120年経った今もすべてのサントスの核(コア)にあります。


2. 【転換点】サントス・カレ(1978年〜)

サントスの歴史において、最も重要な「革命」がここです。

オーデマ ピゲのロイヤルオークなどが火をつけた「ラグジュアリー・スポーツ」の波に乗り、

サントスは「オールステンレス」かつ「ブレスレット一体型」の時計へと生まれ変わりました。

* 特徴: 「カレ(角)」の名が示す通り、角張ったフラットなケース。

初めてブレスレットにビスのデザインが採用され、現在のアイコン的なスタイルが確立されました。


3. 【洗練】サントス・ガルベ(1987年〜)

1987年に誕生したガルべは、現在「ネオヴィンテージ」として再評価の嵐の中にあります。

* 手首に吸い付く「湾曲(ガルべ)」: 最大の魅力は、

横から見た時のラグからケースにかけての美しいカーブです。

平面だった「カレ」に対し、人間工学に基づいたこの曲線が、時計と腕を一体化させました。

* 絶妙なサイズ感: 現行モデルよりも一回り小ぶりな「LM(約29mm)」や、

後の「XL(約32mm)」は、細腕の日本人にとって「これしかない」と思わせる黄金比。

* マニア心をくすぐる仕様: ギョーシェ彫りのないマットな白文字盤や、

現行にはない「オートマチック」表記のフォントなど、クラシックなディテールを

好む層にはたまらない魅力が詰まっています。


4. 【力強さ】サントス 100(2004年〜)

2004年、サントス誕生100周年を祝して放たれたこのモデルは、

それまでの「エレガントなカルティエ」のイメージを覆すほどパワフルでした。

* 「デカ厚」の完成形: 38mm(LMサイズ)という数値以上に大きく感じるスクエアケースは、

厚みもあり、まさに「腕の上の鎧」。

* ディテールの強調: ベゼルのビスも大型化され、リューズガードもしっかりと主張。

繊細な宝飾メゾンとしての顔ではなく、タフな「飛行具」としてのルーツを現代に呼び戻した名作です。

* 今こそ映える「骨太なカルティエ」: 流行が小ぶりなサイズへ回帰する中、

あえてこのボリューム感をジャケットに合わせるスタイルは、大人の余裕を感じさせます。


5. 【現代の到達点】サントス・ドゥ・カルティエ(2018年〜)

2018年の発表以来、ラグジュアリー・スポーツ界で不動の地位を築いた現行モデル。

* ベゼルの「越境」デザイン: ベゼルが上下に伸びて

ブレスレットと繋がるようなデザインに変更され、視覚的な一体感が飛躍的に向上しました。

* ユーザーファーストの技術革新: 工具不要の「クイックスイッチ」は、

朝はブレス、夜のディナーは革ベルトへ、といった使い分けを数秒で可能にします。

さらに、自分でコマ調整ができる「スマートリンク」は、時計業界の常識を変えました。

* 1847 MC 自社ムーブメント: 高い耐磁性を備えた自社製ムーブメントを搭載し、

現代のデジタルデバイスに囲まれた生活でも安心して使える「真の実用時計」へと進化しています。


6. 【別格の選択】現代のサントス・デュモン

ドゥ・カルティエが「進化」なら、デュモンは「純化」です。

* 引き算の美学: リューズガードを削ぎ落とし、より細身のローマ数字を採用。

1904年のオリジナルに最も近い、凛とした佇まい。

* 「XL」という選択肢: 2020年に登場したXLモデルは、

ピアジェ製をベースとした薄型手巻きムーブメント「430 MC」を搭載。

機械式時計好きを唸らせる、通なスペックです。

* ラッカーベゼルの色気: 最近の限定モデルで見られる、ケースにラッカーを流し込んだモデルなど、

ドゥ・カルティエにはない「装飾芸術としての遊び心」が存分に発揮されています。


【歴史を腕に巻くということ】

サントスを選ぶということは、単にブランド時計を買うということではありません。

120年前の飛行の夢から、70年代のラグスポ革命、そして現代の利便性へと続く

「時間の地層」を腕に巻くということです。

「カレ」の無骨さに惹かれるか、「ガルベ」の曲線美を愛でるか、

あるいは「最新」の機能性を取るか。どの時代のサントスが一番自分の心に響くか。

どれが一番かではなく、「今の自分はどう生きたいか」をサントスが問いかけてくるような気がしませんか?

結局、どの時代のサントスを選んだとしても、

そこに宿るのは120年前のアルベルトが抱いた「自由への渇望」なのですから。

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