Cartier Pasha Seatimer
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- 3 日前
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カルティエ・ロードスター復活を見て思ったこと(前編)

2026年、伝説の「ロードスター」が帰ってきた。
24年ぶりの復活を祝う声が上がる一方で、筆者の心の中には、正直少しだけ複雑な思いが渦巻いている。
もちろん、新作の完成度は素晴らしい。
自社製ムーブメントを搭載し、現代的に洗練されたプロポーションは完璧といっていい。
ただ、店頭でそれを眺めながら、ふと当時の「荒削りな熱量」を思い出してしまったのだ。
今のカルティエは、極めて優秀な優等生だ。
でも、かつてのカルティエには、いい意味での「野望」や「無茶」があった。
そんな訳で、今のカルティエにこそ「あえて」復刻させてほしい、筆者が思う過去の名作2本について、
前編後編の2回に分けて記事にしたいと思います。
前編は、カルティエがかつて見せた「ダイバーズへの回答」こと「パシャ シータイマー」だ。
1. 「パシャ シータイマー」とは何だったのか?
カルティエが仕掛けた「美しき反逆」。
2006年に登場した「パシャ シータイマー」は、単なるパシャのバリエーションの一つではなかった。
これは、当時のカルティエが時計界に放った、極めて挑戦的で、ある種「開き直った」
スポーツウォッチへの回答だった。
そもそも「パシャ」の起源は、マラケシュの太守(パシャ)が依頼した
「プールで泳いでも浸水しない時計」という伝説にある。
そのルーツに真正面から向き合い、カルティエが「本気でダイバーズを作ったらどうなるか」を
証明しようとしたのが、このモデルだ。
当時のカルティエといえば、エレガンスの代名詞。
しかし、シータイマーはそれを真っ向から否定するかのように、100m防水を備え、
逆回転防止ベゼルを装備し、インデックスには夜光塗料(スーパールミノバ)をこれでもかと乗せていた。
驚くべきは、その素材の使い方だ。ステンレスケースの硬質な輝きに、
あえてマットなラバーを組み合わせるという構成は、当時のドレスウォッチ界隈では異端中の異端。
しかし、そのコントラストが「ラグジュアリー」と「ツール(道具)」の境界線を溶かし、
独特のスポーティな色気を醸し出していた。
さらに特筆すべきは、パシャの象徴であるチェーン付きリューズプロテクターのデザインだ。
本来ならエレガントなこの意匠を、ラバーベゼルや無骨なブレスレットと組み合わせることで、
まるで「武装した貴族」のような強烈な個性を放っていた。
今の現行モデルが「整った美しさ」を目指すのに対し、シータイマーには、
あえてエレガンスを少しだけ「壊す」ことで生まれる、尖った格好良さがあった。
それは、カルティエがかつて持っていた「なんでもやってやろう」という溢れんばかりの遊び心と、
高い技術力という裏付けが奇跡的に重なり合った瞬間の産物だったと言える。
多くのファンが今もなお、中古市場でこのモデルを探し求めてしまうのは、
単に「パシャが好きだから」ではない。
かつてカルティエが体現していた「品格と無骨さの絶妙な歪み」を、
もう一度味わいたいからに他ならないのだ。
2. 中古市場での現状
現在、パシャ シータイマーは生産終了から時間が経ち、市場から姿を消しつつある。
中古相場は、状態にもよるが概ね20万円〜50万円前後で推移している。
当時のカルティエがこの価格帯でこれほど濃いモデルを出していたこと自体が、
今となっては奇跡のようにも思える。
ただ、良いコンディションの個体を見つけるのは年々難しくなっており、
このまま歴史の中に埋もれていくのはあまりに惜しい。
3. 筆者の妄想復刻プラン
もし、今のカルティエの技術力で、このシータイマーを現代のラインナップとして再構築するなら……
僕はこんな「エグい一台」を期待したい。
・42mmへのサイズアップ
現代のラグスポ・トレンドに合わせ、42mmの堂々たるサイズへ。
当時のボリューム感を正当に継承する。
・オール・セラミック化(またはオールラバー)
ここが最大のこだわりだ。当時のSSモデルも良かったが、
現代なら「フルセラミック」のマット仕上げで構築してほしい。
優雅なパシャのケースが、セラミックの硬質感で「鉄壁のギア」に変貌する。
そんなギャップこそ、今のカルティエに足りない「驚き」だと思う。
・自社製ムーブメントの搭載
精度と信頼性を高め、まさに「どこへでも連れて行ける相棒」として完成させる。
今のカルティエは、間違いなく美しい。
でも、かつてのファンが心を射抜かれたのは、そんな「正解」ばかりではないはずだ。
次回は、筆者が復刻したら面白いと思う、もう一つの名作について語りたいと思います。



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