2026年、腕時計トレンド予測

次に流行する腕時計の3つの傾向と市場動向

高級機械式時計の市場は、コロナ禍以降も価格高騰と需要増加が続いていますが、

次に市場全体が注目し、トレンドを形成する方向性はどこにあるのでしょうか。

2026年に向けて、コレクションに加えたい、あるいは注目すべき腕時計の傾向を、

市場の動向を踏まえて予測します。

傾向1：多様化する「ケース径」と「装着感」への回帰

ここ数年続いた大型化（デカ厚）の潮流は収束し、サイズに関するトレンドは

「極端な二極化」に進むと予測されます。

1.1. クラシックな「小径化」と「薄型化」の再評価

36mm～39mmの復権： ファッションのトレンド（クラシック回帰、ジェンダーレス）と、

時計メーカーが追求する技術的な難しさから、36mmから39mmの小型ケースが改めて注目されます。

特にヴィンテージデザインやドレスウォッチでは、この傾向が主流となるでしょう。

薄型ムーブメントの競争： ケース径が小さくなることで、装着感の良さが重要視され、

超薄型ムーブメントの開発競争がさらに激化します。

これは、実用的なラグジュアリーウォッチのステータスとして認識されるでしょう。

1.2. 意外性のある「大型ケース」の進化

一方で、スポーツウォッチやダイバーズウォッチは大型ケースを維持しますが、

単に分厚いだけでなく、チタンやカーボンといった軽量素材を活用することで、

大型ながらも日常的な装着感を向上させたモデルが増加します。

これにより、大型時計も実用性と快適性を兼ね備える方向に進化します。

傾向2：色の多様化と「テクスチャードダイヤル」の本格化

文字盤の表現力は、今後の時計デザインにおいて最も重要な要素の一つとなります。

特に「色」と「質感」に市場の関心が集まると予測されます。

2.1. グリーンに続く「暖色系・アースカラー」の台頭

ブラウン、ゴールド、ボルドー： 流行したグリーンやブルーの次のトレンドとして、

温かみのあるブラウン（チョコレート、モカ）、ボルドー（深紅）、

サンドベージュなどのアースカラーがコレクションに加わり始めます。

これらは小径ケースのクラシックなデザインとも相性が良く、幅広い年齢層に受け入れられるでしょう。

ジェンダーレスなカラー： 明るいトーンのイエローやコーラル（珊瑚色）など、

性別を問わず身に着けられる、遊び心のあるカラーダイヤルが定着します。

2.2. 立体的な「テクスチャードダイヤル」の一般化

ギョーシェ彫り（緻密な彫刻）やタペストリーパターン（格子柄）だけでなく、

フロステッド（霜降り）加工、隕石や天然石、ラッカー仕上げのグラデーションなど、

光の当たり方で表情が変わる立体的な質感の文字盤が、より一般的なモデルに採用されるようになります。

時計を傾けたときの輝きや変化が、所有欲を満たす重要な要素となります。

傾向3：「技術の可視化」と「実用的な高級化」

技術革新は、単に高精度を追求するだけでなく、消費者が一目でその価値を理解できる

「実用的な機能」と結びつきます。

3.1. 「耐磁性」や「耐衝撃性」のアピール

スマートフォンや電子機器に囲まれた現代生活において、**高い耐磁性（アンチマグネティック）**は、

高級時計の実用性を示す重要な要素となります。

これまでは専門的な機能でしたが、今後は多くのブランドが、日常生活での信頼性を強調するために、

独自の耐磁技術を積極的に宣伝し、標準装備として訴求するでしょう。

3.2. サステナビリティとリサイクル素材の浸透

環境意識の高まりから、時計製造においても**持続可能性（サステナビリティ）**が

重要なテーマとなります。

リサイクル素材の活用： 再生プラスチックやリサイクルされた金属

（特にアルミニウムやチタン）を使用したモデルが、

環境への配慮を示すアピールポイントとして増加します。

エシカルな原材料調達： 貴金属や宝石の採掘方法まで透明化し、

倫理的な調達をアピールするブランドが増え、単なる高級品ではない「背景のストーリー」が

価値を構成する要素となるでしょう。

2026年の市場は、伝統的な美しさに立ち返る「サイズ」と、所有欲を満たす「質感と色」、

そして現代の課題に応える「実用的な技術」の三軸で進化すると予測されます。

今回の記事、どうでしたか？

読者の皆さんがが時計を選ばれる際のご参考になれば幸いです！