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ROLEX OYSTER PERPETUAL COSMOGRAPH DAYTONA Ref.6263 Paul Newman

  • 執筆者の写真: TAKE
    TAKE
  • 6月3日
  • 読了時間: 5分

手巻きデイトナの完成形「Ref.6263」


手巻きデイトナの完成形といわれるRef.6263。

そして、その中でも別格の存在感を放つ「ポール・ニューマン(エキゾチックダイヤル)」。

時計好きなら一度は夢見るこのモデルについて、筆者自身の苦いような、

でも少し懐かしい経験を交えて語ってみたいと思います。


◾️手巻きデイトナの完成形「Ref.6263」

デイトナの歴史を語る上で、避けては通れないのがこのRef.6263です。

実は筆者自身、かつてこのモデルを日常の相棒として愛用していた時期がありました。

当時の定価が約70万円で、中古の相場は50万円ほど。

中古で購入した6263の隣に並んでいたサブマリーナが20万円で買えた時代の、

あの独特な空気感を今でもよく覚えています。

当時の筆者にとって、6263は高価ではあっても、あくまで「日常使いの実用時計」という感覚でした。


なぜ、これほどこのモデルが時計好きの心を掴んで離さないのか。

最大の特徴は、オイスターケースを採用し、防水性能を飛躍的に高めたことにあります。

それまでの手巻きデイトナと一線を画すのが、このねじ込み式の「オイスタープッシャー」の存在です。

これによって防水性が確保されただけでなく、あの精悍で無骨なルックスが完成しました。


そして、このモデルを象徴するのが「プラスチックベゼル」です。

これが付くだけで時計全体の印象がグッと引き締まり、タキメーターの視認性も向上する。

何よりも、あの「道具としての強さ」を感じさせる佇まいは、現行モデルにはない圧倒的な個性ですよね。


心臓部に目を向けると、名機「Cal.727」が収まっています。

バルジュー72をベースに、ロレックスが独自のチューニングを施し、

振動数を19,800から21,600に引き上げた高精度キャリバーです。

リュウズを指で回すたびに伝わってくる「カリカリ……」という心地よい抵抗感とリズム。

今の自動巻きにはない、機械を操作しているというダイレクトな手応えは、

一度味わうと病みつきになってしまいます。


現代のラグジュアリースポーツウォッチとは比較にならないほど薄く、軽い。

腕に乗せた時のバランスは、まさに絶妙という他ありません。

機能性を突き詰めた結果として生まれたこの機能美が、結果として、

これ以上ないエレガンスを生み出している。

当時のロレックスの設計思想には、今振り返ってもただただ脱帽させられます。


◾️エキゾチックダイヤル(ポール・ニューマン)の「狂気」

Ref.6263を語る上で、このダイヤルの存在は避けて通れません。

いわゆる「ポール・ニューマン・ダイヤル」。

通常モデルと何が違うのか。パッと見てすぐ分かるのは、インダイヤルに刻まれた目盛りのデザインです。

四角いブロックのようなインデックスや、文字盤の縁取りのデザイン、そして絶妙なコントラスト。

今のロレックスではまず見られない、あの独特な雰囲気は、

正直言って「時計という枠を超えたグラフィックアート」の域に達していると思います。


実はこのダイヤル、当時あまりの人気なさに、生産数が非常に少なかったそうなんです。

今となっては数億円の価値がつくこともあるというから、皮肉なものですよね。

「売れないからやめる」という当時の判断が、結果として歴史的な希少価値を生んだわけです。


ここで少し、僕の個人的な失敗談を……。

数十年前、ROLEXを買い集めていた筆者の元に、

このポール・ニューマン購入の話が舞い込んできたことがあったんです。「これ、250万でどう?」って。

今の感覚からすれば「即決!」の一択ですよね。

でも、当時の筆者の頭の中は「時計に250万はねーだろ」の一言で支配されていました。

今思えば、なんて勿体ないことをしたんだ……と思います。

でも、当時の時計好きにとって、時計はあくまで「腕に巻いて楽しむ道具」であって、

それ以上のものではなかったんですよね。


◾️「儲かった!」と笑って手放した、あの日のデイトナ

筆者の愛機だった6263との別れは、あまりにあっけないものでした。

ある日、その6263を腕に着けて時計店へ足を踏み入れたときのこと。

店員さんが筆者の腕元を見て、こう声をかけてきたんです。

「それ、150万で買い取らせてもらえませんか?」と。

当時の筆者にとっては、50万で買った時計が150万になるというのは、

まさに「ラッキー、100万儲かった!」という感覚でした。迷う理由なんてありません。

即決で売却して、手元には大きな現金が残った。

当時の筆者にとっては、6263は歴史的価値を持つピースになるなんて、微塵も思ってなかったんですよね。


◾️……そして今。

今の市場価格を知る僕が当時を振り返ると、さすがに「あの時、持っていれば」

という言葉が漏れることはあります。ただ、それは決して深い後悔というよりは、

「あのモデル、今手元にあったらどんな気分だろうね」という、

ある種の懐かしさや遊び心に近いものかもしれません。

当時の38mmというサイズ感は、太腕の筆者の今の好みからは少し外れるので、

仮に今持っていたとしても、普段使いでヘビーローテーションさせることはなかったでしょう。

それでも、6263やあのポール・ニューマンというモデルが持っていた

「余計なものを削ぎ落とした先にある、強烈な個性」……あのシンプルさから放たれる圧倒的な存在感は、

今でも筆者の時計選びの基準として、ずっと根底に残っています。


結局のところ、あの時の選択を笑って話せるのは、時計がこれだけ人生を面白くしてくれる存在だからこそ。

あの時、ポール・ニューマンを断った自分も、150万で売って大喜びした自分も、

その時その時の僕の正直な選択でした。

あの頃の「実用時計としての6263」を愛した感覚が、今の僕を

「シンプルで、かつ個性が光る時計」へと導いてくれている気がします。

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