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腕時計投資

執筆者の写真: TAKETAKE

ROLEX・腕時計投資をお勧めしない理由




ここ2年程、ROLEXをはじめとする腕時計の市場は

今まで以上の盛り上がりを見せています。

直近では下降トレンドにあるものの腕時計が一定の投資商品として

見られつつある事は間違いないのかなと思います。


この盛り上がりのおかげで、新たな層が腕時計に興味を持ち始めた事も

間違いないと思います。

このトレンドそのものに関しては、腕時計を好きな人が増えるという事なので

筆者は歓迎しています。


しかし腕時計を純粋な投資商品として見た時、本当に魅力的と言えるのでしょうか?

本日は筆者がROLEXを含む腕時計全般の投資をお勧めしない理由について、

お話していきたいと思います。

投資の一環として腕時計の購入を考えている方は

ぜひこの記事を見ていただいて参考にしていただければ幸いです。


この記事の結論です。

ROLEXをはじめとする腕時計は、


①流動性が低い(すぐに現金化出来ないという意味です)

②買った時点で10%以上の含み損を抱えてしまう

③持続可能ではない


という理由から、他の投資商品と比べると

魅力が相対的に低いと言えるのではないかなと考えています。

決して腕時計に投資が出来ないという訳ではありませんが、

本当に投資をしたいのであれば腕時計を買うのをやめて

他の投資商品を買いましょう。


まずは前提をお話させていただきます。

現代社会では様々なものが、投資商品としての地位を確立しています。

そして本当に投資したいのであれば、他の投資商品と比較して

どれだけ魅力的なのかを比較した上で判断をしなければなりません。


この記事では株式債券・投資信託を始めとする投資商品と

腕時計を比較した上で評価を行っていきます。

また投資とは簡単にいうとお金を増やす事ですが、

目的に応じて資産の増やし方は異なります。

この記事では長期的な資産形成を目的とした評価軸で見ていく事とします。

おそらく投資をされる方、既に考えられている方は

下記の様に考えてるんじゃないかな?と思います。


・将来に備えてお金を増やしたい

・でも困った時はすぐに現金化したい

・一気にお金を投資に回すよりもコツコツと積立したい


それぞれの願望を叶える為に、今回優れた投資というものは


・長期的に資産を増やせる事

・必要な時に現金が出来る事

・少額でもコツコツと長期で積み立てられる事


この3つを満たすものとして考えていきます。

それではなぜROLEX・腕時計投資はお勧め出来ない投資なのでしょうか?

その理由は上記に挙げた①〜③の理由になります。


①流動性が低い

例えば予期せぬ事態が起きて、すぐに現金が必要になった場合、

現金化にどれだけ時間がかかるでしょうか?

まずは例として株を見ていきたいと思います。

証券会社で取り扱いがある商品であれば、

特別なものでない限り、1営業日で現金化をする事が可能です。

おそらく明日には手元に現金を、もしかしたら早ければ当日に

手元に現金を用意する事が可能でしょう。


では一方で時計はどうでしょうか?

いくつか現金化する方法あると思いますが、

最も早いのは並行店や中古店に買い取ってもらう方法です。

この方法であれば最短1日で現金化をする事が出来るでしょう。

但し最も手数料が高く、投資のつもりで買った時計で

損をしてしまう可能性も高くなってしまいます。


次に考えられるのが委託販売です。

店舗で販売するよりも手数料はかかりませんが、

販売出来るまでにより長い時間を要してしまいます。


最後に個人で販売をする方法です。

このケースであれば手数料は一番安くなりますが、

時間もかかる上にトラブルが発生した際の処理が面倒です。

お金を増やすという投資の第一目的に立つと、

手数料を出来るだけ抑えたいという気持ちになりますが、

そうするとすぐに現金化が出来ません。

他の投資商品と流動性の面で比べると、

不動産の次に悪いといったイメージだと思います。


②買った時点で10%以上の含み損を抱えてしまう

買ってお店を出るだけで10%以上の含み損を抱える事になるでしょう。

つまり時計の価格が10%値上がりしてやっとトントンになるという、

とてつもないハンデキャップを自分から背負いにいっているのです。

お金を増やすという面でも優れた投資方法ではありません。

まず株を例にとって見ていきましょう。


例として挙げるのは、SBI証券というネット証券会社の株式売買にかかる手数料です。

プランによりけりですが、おおよそ売買の手数料は1%もかかりません。

ほぼ無料の様な感覚で取引が出来ますが、投資の世界でこの1%未満の手数料は

死活問題でどれだけ手数料を抑えて取引が出来るのかというポイントに

投資家は重きを置いています。一方で腕時計の場合はどうでしょうか?

店舗買取の場合は安くても10%、高ければ20パーセント以上の

手数料を取られる事でしょう。


手数料が安いと言われている委託販売ですら12%以上の手数料を取られます。

一番安い方法はネットで個人売買をする事で、6%程度まで下げる事が可能です。

これまで見てきた数字に比べると6%を安く感じますが、

投資の世界では信じられないぐらい高い手数料です。

ここでいう手数料が高いというのは、投資の感覚でいうと高いという意味であって、

ここで出ている様な店舗やサービスが

法外な手数料を取っているという意味ではありません。

あくまで腕時計は投資商品としてではなく、贅沢品として取引がされるものなので

ビジネスとしてこれだけの手数料を取るというのは仕方がない事なのです。


ただしこの記事は、投資商品としての評価ですので

そういう意味で言うと、こんなに手数料の高い投資はないのかな?と思います。

「いやいくら手数料を取られたって正規店でデイトナ1本買えたら

それだけでめちゃくちゃ儲かります」と思った方、

それは投資とは言えません。ただの転売です。

また出来るだけ継続的に購入出来る事が投資商品としては

優れていると言えるでしょう。


でも今のROLEXなら、購入縛りがつくようなスポーツモデルだけじゃなくて、

クラシックモデルも狙っていけば継続的に購入出来るんじゃないか?と思った方、

それだけ暇を持て余して正規店に通い詰められる方は非常に限られています。

また万が一、転売ヤー認定されてしまった場合、

その店舗からはもう売ってもらえなくなるリスクも考えられます。

安定的に購入出来ないと言う事は、コレクター魂をくすぐる一方で

投資商品としての魅力は下がるといってよいでしょう。


③持続可能ではない

転売ヤーの様な、投機目的であれば問題ありませんが

長期的な投資として考える場合は、かなりハードルが高いと思っています。

これから値上がりをする可能性がある時計は既に市場価格が高いものばかりで、

それを定期的に支え続ける事は並大抵の人には出来ません。

継続して資金を投下出来ない場合は、

投資ではなくギャンブルに近いものになってしまいがちです。


また、投資の初歩的なテクニックが非常に使いにくいという点も挙げられます。

有名な投資法に「ドルコスト平均法」というものがあります。

これは毎日や毎週毎月といった具合に、決まった間隔で同じ投資商品を

積立購入する事で、価格変動のリスクを軽減する手法です。

その時の相場に関係なく何も考えずに決まった金額を投資し続けます。

例えば私がめちゃくちゃお金持ちになって、毎月1,000万円を投資出来るとしたら

今の相場で白文字盤のデイトナを毎月2本買うというものです。

相場が上がった場合は1本しか買えない月もあるかもしれませんが、

相場が下がった際には3本買う事も出来ます。


こうする事で、平均の購入価額を平均化する事が出来て

価格変動リスクを軽減する事が出来ます。

なお価格変動リスクは値下がりする事だけではなく

値上がりするリスクも軽減しますので、

投資でいわゆる大勝ちみたいなものはしにくくなります。

長期的に見ると堅実に資産を増やす事が出来るという手法になっています。

この買い方を腕時計で本当に出来るでしょうか?

値上がりする時計は前も話した通り、既に価格が高くなっているものが多いです。

ドルコスト平均法で腕時計を買い続けられる方は本当に限られた方だけです。


最後に投資ポートフォリオの話をさせていただきます。

これまでそれぞれの投資商品と比較して腕時計当時の優劣を見てきましたが、

投資商品としての魅力が高いからといって一本足打法にするのはリスクが伴います。

例えば株式が最も投資商品として魅力的だったと仮定したとして

すべての投資資金を株式に投下するというのは得策とは言えません。


一般的には様々な投資商品を一定の割合で持ちつつ、

自分の投資ポートフォリオを組むというのがリスクを最も軽減出来るとされています。

では腕時計もこのポートフォリオに組み込む事は出来るのでしょうか?

おそらくほとんどの方は難しいのではないかと推察します。

それは腕時計が単価が高くてポートフォリオのバランスが取りにくいからです。

ポートフォリオのバランスが崩れてしまうと自分が想定していなかった

資産の目減りなどの出来事に見舞われる可能性が

高くなってしまうという風に言われています。


それでは腕時計の投資商品としての魅力度を最後に見てみましょう。

腕時計投資はこれまで話してきたデメリットを許容できる方、

つまりとてつもない資金を持つ、クソ金持ち向けという事になるのかなと思います。

個人的には不動産投資が最も近いのかなという風に感じています。


まとめです。

ROLEXをはじめとする腕時計は、これまでお話ししてきた理由から

投資商品としての魅力度は相対的に低いと言っていいでしょう。

この記事は昨今の腕時計市場の盛り上がりを見て、

時計を投資として買ってみようかなと考えている方に向けて作成しました。

そういう動機で腕時計市場を見始めた方は、悪い事は言わないので

その資金で株や投資信託を買ってください。

またもし自分の趣味を正当化する為にご自身のパートナーに

「時計は値上がりするから」という口実で腕時計を買っている皆様、

本当にごめんなさい!

この記事がパートナーにバレない様に闇に葬ってください。

そしてこれからも迷わずに時計を買ってください!

筆者も迷わずこれからも時計を買い続けたいと思います。



ここからはおまけです。

腕時計の委託販売の手数料は12%以上であると、この記事でご紹介しました。

もしかしたらそれに違和感を感じている方もいらっしゃるかもしれませんので

その点について補足させていただきます。

「腕時計委託販売」でググると、大体3%から6パーセントぐらいの手数料で

委託販売を受け付けますという中古販売店がいくつか出てくると思います。

ここに関しては個人的に思う事があるので、

今の腕時計業界で一般化している委託販売の仕組みからご説明していきます。


とある委託者は、とある時計を100万円で売りたいと思い、

中古店に委託販売お願いにしました。

受託者は手数料3%ですと言いながら、税込110万円で消費者に販売をします。

そして消費税を抜いた100万円から手数料3%を抜いて

97万円を委託者に渡すといった流れです。


腕時計の業界でしか委託販売を見た事ない方であれば、

何も疑問に思わないかもしれませんが、一般的な委託販売はこうではありません。

本来の委託販売は、消費税込の110万円から手数料を引いて、

委託者に戻すというのが委託販売です。

つまり中古店は3%と言いながら、実際は12%の手数料を抜いているという事になります。

おそらく大々的にこの様な事がまかり通っているという事は

法的には問題ないんじゃないかなという風に思います。

また、たとえ委託販売手数料が12%であったとしても

決してそれは法外に高いという訳ではありません。

当然それ相応のサービスを受けているので、一定の手数料を取る事に対しては、

正当であるという風に思います。


普通に「手数料は12%なんです」と、伝えてあげればいいのにと

単純に考えてしまいます。

残念ながら個人的には誠実性に欠けるのかなと思ってしまいますし、

もし後になって、委託者が消費税の納税が必要になった時には

委託者が損をするという事になってしまいます。

腕時計の中古販売店は中小企業の集まりなので

たとえ業界で名が通っていたとしても、ウェブサイトに記載されている事を

100%信用してしまうのは危険であるという事は、覚えておいて損はないと思います。

信頼出来る売り先というのは、どうしても手数料が高くなってしまうものです。

これも腕時計が投資商品として魅力が低くなる一つの理由と言えるでしょう。


長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

 
 
 

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