プロダクトライフサイクルについて

時計にせよ、車や単車にせよ、
とかく「前期型」モデルに人気が集まる傾向があります。
筆者が次回購入に狙っている、腕時計の某モデルも、
前期型と後期型で値段が10〜20万程変わっています。
全ての商品に当てはまるかは分かりませんが、
ここでは「プロダクトライフサイクル」の観点から、
「前期型」に人気が集まる理由を紐解いてみたいと思います。
プロダクトライフサイクルとは、写真の通り、
あるプロダクトの誕生から衰退までをS字の曲線で表したものです。
ここで、各サイクルについてご説明したいと思います。
①導入期
あるプロダクトの市場の発展における初期段階です。
この段階ではまだ売り上げは小さく、競合も多くありません。
新しい技術によって市場が創出されるケースも多々見られます。
最近であればメタバースなどがその例といえるでしょう。
この段階では、プロダクトの使用方法や従来品との違いを
顧客に啓発する事が大切となります。
企業にとっては、いち早く初期の需要を創出する事が求められます。
特にファーストアドバンテージが生じやすいビジネスでは、
この段階で一気にシェアを取る事が非常に重要となります。
②成長期
新しいプロダクトが市場に浸透し、市場規模がどんどん大きくなる段階です。
それに伴って多数の競合が市場に参入し、競争は激化していきます。
市場も細分化され、特定のセグメントに合わせた
プロダクトが生み出される事もあります。
この段階では、自社ならではの特性を打ち出し、
他社のプロダクトとの差別化を図る事が一般的です。
また、1種類のプロダクトのみを提供するのではなく、
ラインアップを拡充する事もよく行われます。
時計であれば多くの文字盤のカラーバリエーションの追加や
クロノグラフやGMTなど、多くのラインナップをリリースする事などです。
③成熟期
どのようなプロダクトであれ、いつまでも成長が続く訳ではありません。
グローバルに目を向ければまだまだ成長の余地があるケースもありますが、
特定の市場については、ある時点で成長は止まります。
市場が成熟期に入ると、多くの場合、新規参入は減り、
業界構造が固定化する傾向が高くなります。
近年ではスマートフォン端末などがその例といえそうです。
市場に踏みとどまった企業の目標は市場シェアの維持、
あわよくば拡大となっていきます。
また、成熟期をなるべく引き延ばす事も大切です。
時計を例に取ると、モデルチェンジなどを行う事で
需要の掘り起こしを狙ったりします。
この段階に後期型と言われるモデルへのシフトチェンジになります。
また、シフトチェンジを機に、コストダウンが図られるのもこの段階です。
時計の場合、針やインデックスの簡素化、ケースフォルムの変更などにあたります。
④衰退期
市場全体の売り上げが下がっていくフェーズです。
市場シェア上位企業、あるいは特定のニッチ市場で
存在感を示せているブランドやモデルは生き残る事が出来ますが、
それ以外は撤退していく時期になります。
特定のモデルが廃盤になる時期などが、ここにあたるかと思います。
このサイクルにより、よりコストと知恵や思いが注がれた
②の段階で作られた「前期型」と言われるモデルが
後になって評価される事になるケースが多いのだと思います。
この様な話をしていると、後期型って逆に
スペックアップしてる事あるんじゃない?って
思われる方がいらっしゃると思います。
例えばブレスがダブルロック仕様になったりとか、
防水性能が上がったり、ムーブメントの仕様が変わったりなど。 基本的に筆者がいうマイナーチェンジでコストダウンするというのは 主にデザインの部分になり、スペックの部分ではありません。 スペックに関してはブランドとしてアピールしたいところですので、 マイナーチェンジというよりは、
新しい型番として刷新、発表するパターンになるかと思います。 なので、同じ型番の中で、後期の方がスペックアップしているというパターンは
実はあまりないのかなと思います。 もしこれをご覧の皆様に、今お探しのモデルがある方は そのモデルの「前期型」、探してみては如何でしょう?
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